肉は食べた方がいいの?食べない方がいいの?
私は4人兄弟の末っ子長女として、9人家族の兼業農家で育ちました。父は仕事の合間に田畑を耕し、母は田畑の手伝いと毎日の家事に忙しく、私は祖父母に世話されて育ちました。両親は一生懸命働いて、家族に毎日何不自由なく食べさせるのが豊かな生活だと、肉や魚が毎日食卓に並んでいました。一方で、祖母は60歳になるまでお肉を食べたことがなく、魚もほとんど食べなかったと、よく話していました。学校でも肉や魚を食べるのが健康的な食生活だと教わり、肉や魚が食卓に並ぶのは当たり前だと感じと感じていたのとは真逆の祖母の話に、どっちが正しいのか、どっちが健康的なのか、頭の中は疑問でいっぱでした。
自分が自分じゃなくなっていく恐怖
卒業後、地元の印刷会社に勤めました。真面目な性格から、人に頼まれると断れず、どんどん仕事を請け負ってしまい、毎日夜遅くまで残って働いていました。仕事に追われ、自分が楽しむことも、自分の感情すら封印して働きました。いつしか、生きているのに、自分ではない感覚が常にあり「自分はなんなんだろう?」「自分には軸がなく、軸がほしい」と思うようになりました。
心と身体が離れている感覚で漫然と過ごす日々。だんだんと、そんな自分が嫌になり、他人の目を見る事も怖くなりました。自分の意見を言わないことで、自分を守り、人に対しても無関心を装い、下を向いて生きるようになっていました。不規則な生活とも相まって、体調もどんどん悪化、体臭、吹き出物、むくみ、むち打ち、肥満に悩まされていました。
自分の苦しい生活とは真逆の世界への憧れ
肉体的にも精神的にも限界となり、転職を決意しました。次の職場では、仕事はお金を稼ぐ手段と割り切り、無気力に仕事をこなしていきました。そんな中、なんとか自分軸を取り戻し、自分を満たすキッカケになればと、働いてためたお金で、漫画を描く勉強をはじめました。自分の目の前に広がる現実とは真逆の夢のある漫画の世界や、テレビや雑誌で見るきらびやかな世界に憧れを抱くようになりました。とはいえ、自分に自信もなく、雑誌で紹介されているライフスタイルやファッションは、ただ眺めるだけ。憧れの世界と繋がりたいと、アイドルの追っかけもするようになりました。
漫画を読んだり、描いたり、追っかけをしたりしても、楽しいのはその瞬間だけ。過ぎてしまえば、いつもと変わらない日常。変わらない私が待っている。日常に引き戻された時の虚しさから、だんだん現実を見ずに、妄想の中で生きるようになりました。自分軸を取り戻すどころか、逆にどんどん自分を見失っていきました。自分には価値がないとさえ思うようになっていきました。
東日本大震災の恐怖からポーンとワープ
自分を見失っていたその時に、東日本大震災が起こりました。当時暮らしていた実家は、原発事故で全村待避地区の隣だったことから、言い知れぬ恐怖と不安から、もうどうしたらいいのか分からなくなってしまいました。そんな私の脳裏に、フラッシュのように以前ホームページで見た「未来食セミナー」の文字が浮かびました。そして、すがるように受講したのです。
セミナーが進むにつれて理屈を超えて全身が響き出し、明るい希望が体の中に灯るのを感じました。本来の食のパワーとつぶつぶ料理のおいしさに感動した私は、続けて、未来食セミナーScene2、3を受講。さらに、34歳になったその秋に山形いのちのアトリエでの暮らし丸ごとつぶつぶ研修に飛び込みました。毎日、つぶつぶ料理三昧!現代の価値観と暮らしからポーンとつぶつぶの世界にワープしました。
食の世界から矛盾が解けて、心が解放された
「未来食つぶつぶ」を知り、学んだことで、はじめてストーンと腑に落ちる情報に出会えた、と感じました。祖母に聞いていた食べ方は本当だった!!!ということがわかり、感動でいっぱいになりました。そこから、自分の中でずっと抱えていた矛盾や疑問が解決していきました。
山形での研修は、私にとって、驚きの連続でした。あまりにも無知な自分を知って愕然とすることがたくさんあり、ビックリするような失敗も経験しましたが、夢中でつぶつぶ料理に打ち込む日々は、今まで体験したことのない感動や達成感や充足感に満ちていました。
朝起きると遮るものがない空が目に入る緑の森に囲まれた暮らし。たわわに実る雑穀の収穫、自分たちで育てた野菜のおいしさ、一面真っ白な雪景色、冬でも薪ストーブ一台で過ごせる家の気持ちよさ。飯豊連峰と朝日連峰の山々を吹き抜けてくるエネルギーたっぷりの空気と大地から湧き出すおいしい水とつぶつぶ料理の愛情いっぱいのエネルギーが私の体を浄化してくれました。そして、閉じていた私の心も徐々に開いていったのです。豊かな大自然が私の心を解放してくれたのです。
伝えたい!心を解放する鍵が「食」にあることを
食を変えることで、体が体調もどんどんよくなり、それと同時に、心もどんどん軽くなりました。毎日食べるものに、自信持って「大丈夫!」って言えることこそが、自分軸で生きる大前提だと気づきました。毎日の食に不安や悩みや疑問がなくなり、おいしい料理を次々と生み出すことができるようになったら、自分にどんどん自信がついてきました。食材の個性を活かしておいしさを引き出す技を手に入れたら、他人と比べて自分を卑下するのではなく、それぞれの違いを喜べるようになりました。
強固な感情の引きこもりと、自信のなさから笑顔すらしてこなかったせいで、頬が固くて笑えないほどだった私はもういません。真っ直ぐに前を見て、人と目を合わせて、にこやかに料理を楽しんでいる私が今ここにいます。
現実逃避をして、どんどん縮こまっていた私が「未来食つぶつぶ」という食を通して、本当の自分を取り戻していったのです。そんな「未来食つぶつぶ」を、私と同じように悩んでいる人に伝えたい!日々、料理することで、自分を蘇らせる感覚が戻っていくこと。その楽しさを伝えて生きたい、という想いで活動をしています。
(※あくまでも個人の体験談です。)